配達人のノート

書きものしながら配達する人のブログ

ウルトラマン、ユーチューバー説。シン・ウルトラマンを鑑賞してみた

こんにちは、あまねと申します。

ずっと、米津玄師さんの「M八七」を聞いています。

ウルトラマン



遥か空の星が ひどく輝いて見えたから

 

聞いていると、思い出すんです。

物心ついたばかりの時、父親と一緒にレンタルしてきたビデオを見ていたこと。

雪国の雨のひゃっこさも。

 

そのビデオの、少々荒い画質の中に映る、大きくて強いヒーロー。

カッコいいけど、よく見ると、目に黒い丸がある!そんな手作り感。

まるで、トイカメラで撮った写真のよう。

キマってても、どこか親しみがある。

それが、僕のウルトラマンの原体験です。

 

僕は1988年生まれ、現在34歳です。

僕らの世代は、リアルタイムで放映された特撮番組が、ほぼなかったんですよね。

いわゆる、「特撮冬の時代」を過ごした身です。

ウルトラマンも、仮面ライダーも、レンタルビデオ屋さんで借りるもの。

過去のアーカイブなんだ。

 

ヒーローは、ただいま不在となっております。

再配達の連絡は、まだ来ない。

それは、2000年放送の仮面ライダークウガまで続きました。

衝撃だったなぁ、クウガ

 

正確には、その前にウルトラマンティガも放送されていたのですが、

その頃には小学校高学年になっていて、ウルトラマンからは気持ちが離れていました。

 

ですから、僕にとってのウルトラマンといえば、

小さい頃に見せられた、ウルトラマンウルトラマンタロウウルトラマン80なんです。

いまでも、そうです。

 

そのころのウルトラマンが、帰ってきたー。

 

その事実に、心が動きました。

ですが、好きなアーティストのライブ前日のように、アドレナリンMAXな日常を過ごしていたわけではありません(ちなみに僕はPerfumeが大好きです、唐突な独白)。

むしろ全く逆で、シン・ウルトラマンのことなど、頭の片隅にもない状態で、配達の仕事をして、家に帰って、という日常を過ごしていました。

ええ、金が欲しくて働いて 眠るだけです。

 

それでも、公開2日目には、映画館に行ってチケットを買っていました。

さも当たり前のように。

幼少期の体験って、恐ろしいですね。

 

ーすみません。

 

ここまでは、「僕にはシン・ウルトラマンを語る資格がある」と、

世間に、あなたにアピールしたいがための、社会的証明のようなものです。

いわゆるマウンティングなのですが、ウルトラマンはじめ、特撮文化の造詣が深いあなたにとっては、このマウンティングは、レッサーパンダの威嚇なみに、かわいらしく映っていることでしょう。

 

いちにわかの僕が、幼少期の原体験を忘れられなくて、恐れ多くも、シン・ウルトラマンの感想を述べようとしているのです。

 

金が欲しくて働いて 眠るだけの人間が、

愛と正義と美の化身について語らせていただくのです。

 

ですから、お読みになったあなたを不快にさせてしまったら、すみません。

また、情報が間違っている部分もあるかと思いますが、ご了承ください。

ここからは、ネタバレありで進めさせていただきます。

 

ーここからネタバレありー

 

観終わった後の第一印象:面白かった!

 

感想ブログ書いておいて、「面白かった」で済ませるのどうなん?って自覚がありますが、これを言わなきゃ始まらない!

面白かったです!

ラストにも、心地よい感情が残りました。

 

シン・ウルトラマンという作品を、好きになれるか否かの分かれ目って

ウルトラマンが地球を守る動機を理解できるか?ですよね。

僕は、終盤のゾーフィとの会話シーンで、

「まぁ、納得できるわ」

と思えて、それに命懸けれるウルトラマンが、愛おしくなりました。

 

あと、ウルトラマンの横顔カッコ良すぎ。

仮面ライダークウガのアルティメットフォーム変身後に、五代が一条さんに見せた表情を思い出します。

 

 

印象に残るセリフと言葉遣い

 

映画を一回観ただけなのですが、それでも印象に残るセリフが多いですね。

一字一句を覚えていなくても、こういうこと言ってたよね!って思い出せるのにびっくりしました。

 

特に、長澤まさみ演じる浅見弘子が、

「立案し、実行します」って言っていたのが気に入りました。

仕事でも使いたくなります。

 

定時に帰るために配達の段取りを立案し、実行します。

 

 

政府、無能すぎません?

それと、政府がとにかく無能でやきもきしましたね。

日本、ホイホイ条約結びすぎじゃい、笑

経済でも外交でも他国に遅れをとっている国が、出し抜こうとすると、だいたいスベりますよね。

その構図って笑えるけど、自分も気をつけなきゃって思う。

 

僕は少し投資を嗜んでいるのですが、一般人にはいい儲け話なんて降りてこない。

だから、ホイホイ飛び乗っちゃいけないのです。

最悪、破産します。

投資は、知識もつけずに一発逆転なんて、不可能な分野です。

僕にできるのは、確かな実力をつけて、一歩一歩、私生活から改善してくこと。

それを実感しました。

 

 

ウルトラマンはなぜ人間を守る?

SNSに投稿されていたり、YouTubeでも解説されているものに、

「本作のウルトラマンはなぜ人間を守るの?」というものがありました。

 

人間を好きになった

 

これは作品でも言われていますが、なんで人間を好きになったの?という部分に引っかかる人も多いですよね。

僕も納得するのに時間がかかりました。

これを詳しく説明してみようと思います。

まず、人間心理として、「好き」の前段階として、必ず「興味を持つ」というステップがあります。

これ光の国の住人にも適応されると仮定します。

 

どこに興味を持ったのか?

作中、人間が他者を庇う行動にだ、と言っています。

 

ウルトラマンはじめ、光の国の住人は、各々が自己完結している存在。

そんな彼らだからこそ、他者を身を挺して庇うという行為に意外性を感じて、

興味を持ったのでしょう。

 

 

それでも、いくら好きになったからって、命まで投げ出そうとする?

という疑問は残ります。

たぶん、今作のウルトラマンはします、笑

 

 

なぜなら、ウルトラマンが興味を持った理由が、

他者を身を挺してかばうこと、だったからです。

 

 

人は、好きになった人と、無意識に同じように振る舞いたくなる心理があります。

いわゆるミラーリングですね。

これが、光の国の住人にも適応されるのであれば、

ウルトラマンは人類を身を挺して守りたくなったと思えても不思議じゃないと思います。

なぜなら人間のその部分に惚れたのだから。

 

 

ウルトラマンの心理変化

  1. 意外性:自分の価値観と真逆の存在を知る 例:神永が子供を庇う
  2. 興味:いろいろ調べちゃう 例:蔵書で地球文化の勉強
  3. 好き:同じ行動をとりたくなる 例:地球のために命を懸ける

 

シン・ウルトラマンSPY×FAMILYにみる、今のトレンド

 

だから、斎藤工さん演じる「神永新二」。

彼が冒頭で子供を庇ったことが、本作の最大のファインプレーです。

ただ本編開始早々に退場して、ウルトラマンに乗り移られる存在だけじゃなかったんです。

彼が冒頭で子供を庇ったことが、ウルトラマンを「その気にさせた」のですから。

 

目の前の一人の命を守ったことが、結果、人類全体を守ることにつながった。

 

正直、作戦中に作戦立案担当が単独行動して子供を救い行く行動は、自然なのか?

と言われれば、違和感が残りました。

 

それでも、任務を中断してでも一人の命を助けにいく。

 

その行動に意味があるのだと、この作品から言われている気がします。

日本を救いたいのなら、まず目の前の一人を大切に扱う。

もともとそんな信念が、神永さんにはあったのかもしれません。

 

これは、現在放送中のアニメ、SPY×FAMILYにも通じる価値観。

この作品でも、主人公の孤独な男スパイが、国家の勝利のため、

 

まず家族を作る

 

というミッションを課されます。

主人公のロイドは、スパイ故に他者と親密な関係を作ることを避けてきましたが、任務のため、それを実行していきます。

この作品もまた、全体をより良くするために、目の前の現実を良くしていく

という展開です。

 

大事を成すにはまず小事から

これが、今の世相の気分なのかも。

 

「まず隗より始めよ」私の好きな言葉です。

 

ウルトラマン=ユーチューバー説

ウルトラマンは好きになった人間のために、命を投げ出します。

悪意のある言い方をすれば、好奇心のために命張ったってことです。

○○やってみたの最終形態ですね。

 

YouTuberが人気な理由は、自分がやりたくてもできないことを、代わりにやってくれるから。それって単純にかっこいいと思うし、親近感にもつながります。

絶対にうまくいかないと分かりきっていることに、あえて挑戦して、結果笑える。

でも、気づいたらすごく尊敬してる。それが、ユーチューバーの魅力です。

 

今回のウルトラマン、デザイン的にはカラータイマーも目の覗き穴もなくて、

親近感をどう演出するんだろう?好きになれるかな?って気になっていたのですが、

まさか、性格とか行動の動機で親近感を感じるとは思いませんでした。

 

世界を救うのは好奇心

本作で一番感情移入できたキャラは誰ですか?

メフィラス星人?滝明久?

僕は、早見あかりさん演じる、船縁由美でした。

 

彼女は中盤、政府に軟禁されてメンタル落ちてるシーンがありますが、

終盤の、終焉を待つしかない絶望的な状況では、希望を見出し、はつらつとしていました。

いますよね。

しょっちゅうメンタル病むけど、大事な時には中心になって動ける人。

 

そういう人、かっこいいな〜って思います。

 

 

ウルトラマンにベータカプセルの理論を託され、それを解析するために世界が一つになる。

 

世界が、分断ではなく、統合を目指す。

 

終盤の展開は、アクションメインではありませんが、

危機に対して、人間の知性で立ち向かっていく。

そんな人間の美しい点が描かれていたと思います。

 

それが、悲壮感だけでなく、

地球を救った「その先」までイメージできる知的好奇心、未来への希望も交えて描かれていて、どこかわくわくしている自分がいました。

 

 

 

シン・ウルトラマンで見る「人間とは何か?」

僕の好きな「哲学者とオオカミ」という本があります。

哲学者とオオカミ

大学で講義をする哲学教授が、オオカミと暮らしてみた本です。

この著者ヤバいです。

ふつーに教室でバカでかいオオカミを放し飼いにしながら講義してます。

 

彼は、オオカミと人間を照らし合わせて、

人間とは何かを考察するのですが、

 

契約と嘘を使い、他人を搾取するのが人間

(今作のメフィラス星人的振る舞い)

という、進化論ベースの立場をとった上で、

 

どんなに絶望的な状況であっても、反抗の態度を示すのがオオカミ

としています。簡単にいうと、だが断る理論です。

 

そのうえで、著者のマークは、自分の振る舞いをオオカミ的なものに近づけていこうとします。この本も読みやすくで、心が動くのでおすすめです。

 

著者マークは、オオカミと人間を比較してうえで人間とは何かを見極めていきますが、

今作では、ウルトラマンと人間を比較したうえで、人間とは何かを伝えている気がします。

 

僕が今作から受け取ったメッセージは、好奇心にフタをしてはいけないということ。

 

船縁由美や滝明久のように頭抜けて優秀な人たちも、最初はこれって何?面白そう!っていう、純粋な興味から知識を深めていったのだと思うんです。その好奇心が育っていくうちに、好きになり、究める原動力になる。

 

人間関係でも同じ。

他人に興味が持てなければ、好きという感情も育ちようがない。

 

本作のテーマの一つが愛なのだとすれば、気持ちが愛に動く最初の一歩が「好奇心を持つ」ことであるはずです。

 

ウルトラマンってロック。

単純に思ったのですが、

ウルトラマンって案外ロックだな、と。

メフィラス星人が居酒屋で飲んでたロックじゃなくて、ROCKのロックです。

 

だって、地元である光の国のルールを破って、地球を守るという選択をしたんですから。

あとは、メフィラスが周到に立ち回って、日本政府と「公的に」結んだ契約にもビビってない。

 

まさに、

「真実と正義と美の化身」してたなと。

 

真実と正義と美の化身だから、セコイ密約なんて関係ないし、地元の星のローカルルールなんかじゃ縛れない。

正しいことのために、命を投げ出せる。

そのために、暴力だって振るう。

それは、一人の芸術家の生涯みたいです。

 

これからどうする?

ここまでを踏まえて、幼少期、ウルトラマンに憧れた身として、

シン・ウルトラマンを鑑賞した身として、

これからどうやって生活していこうか?

 

考えたのですが、とりあえず、好奇心にフタをしない。

興味があることはやってみる!

というスタンスでいきます。

それで面白いネタが生まれたら、記事も書けますし。

 

具体的な行動プランは、一日1つ新しい経験をする。です。

 

また次の記事でお会いしましょう。

ありがとうございました!